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ゴヤ《カルロス4世の家族》―アートでめぐる世界の旅 [美術講座]

ロイヤルファミリーというものは今も昔も人々の関心の的。絵に登場する「家族の肖像」を追うシリーズ―最終回の第3講(3月7日開催)は、ゴヤの《カルロス4世の家族》を取り上げました。
[アート]画像
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fc/Francisco_de_Goya_y_Lucientes_054.jpg

まずは皆さんに絵を見ながら自由にコメントを出し合ってもらいます。主要な登場人物のセリフを考えてもらったところ、次のような言葉が。。。

 ・私が主役よ(王妃:中央)
 ・嫁さんがセンターってのはどうよ...(国王:右手前)
 ・次は俺の時代だ(皇太子:左手前)
 ・こいつらにはウンザリだ(皇太子:左手前)
    ・・・等々

たしかに画面中央に堂々と立つ王妃の姿からは、かかあ天下(!?)の実態が一目瞭然です。本来なら国王が立つべき場所でしょうが、人のよさそうな国王はあっさりその場を明け渡してしまったようです。横並びの列から一歩前に立っているけれども、中心ではないカルロス4世の立ち位置は何とも微妙です。同じく画面左側手前に立つ皇太子は、気の弱そうな国王とは対照的に強い野心を内に秘めているように見え、やや超然とした表情から家族の中で浮いた印象も与えます。
史実に照らしても、政治的に無能で気の弱い国王(ちょうどフランスのルイ16世のような?)、宮廷と政治を牛耳っていた王妃、そうした親を嫌悪し後に史上最悪の暴君になった皇太子…など、この絵は各人物の性格や入り乱れる思惑をかなりあからさまに表しているようです。どの人物もいま一つ立派に見えないのも、高貴な身分の人々の肖像としては異色です。そうした容赦のなさはまさしくゴヤの真骨頂と言えましょうが、画家としては露悪的に表現したわけではなく、宮廷批判などの意図を込めたわけでもないようです。野心家だったゴヤは、宮廷画家の地位を得るためにあらゆる手を尽くしました。そして、首席宮廷画家になりたてのゴヤは、大きな自負をもってこの大作に挑んだことでしょう。その結果、はからずもこの一家の実態を露にしているとすれば、それこそまさにゴヤのゴヤたる所以であると思います。

家族の肖像は、さまざまに形を変えながら描かれ続けてきた普遍的なテーマ。家族の核である夫婦2人の婚礼の肖像から親子3人水入らずの聖家族、そして複雑な人間関係が錯綜する大家族のロイヤルファミリーまで、家族の形に注目して3つの作品を見てきました。「家族」とは、時にありがたく、時にやっかいで、愛していても傷つけあったり、嫌っていても捨てられなかったり、とかく一筋縄ではいかず、悩みや煩悩の温床でもあります。それでも「家族」は今も人間社会に存在し続けています。これからどんな「家族の肖像」が出てくるのか、人類の未来とともに興味深いテーマです。

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