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クラーナハの魅力 [講師出講]

昨日はシニアCITYカレッジ受講者の皆様と「クラーナハ展―500年後の誘惑」を見学してきました。午前中、大教大天王寺キャンパスにて北方ルネサンスとクラーナハについてレクチャー、午後、国立国際美術館で展覧会を鑑賞しました。

ルーカス・クラーナハ(父)(1472-1553)は、アルプレヒト・デューラーと並ぶドイツ・ルネサンス期の代表的な画家で、独特のプロポーションが神秘的な魅力を放つ裸婦像や、妖しくも艶然たる女性像が有名です。

Cranach_d.-Ä.-071.jpg
Lucas Cranach d.Ä._Judith mit dem Haupt des Holofernes_1530_ウィーン美術史美術館_赤袖.jpg

デューラーに比べると日本での知名度は一歩二歩譲っており、昨日の講座でも以前からクラーナハ(クラナッハ)を知っていたという人は50数名中3~4名でした。しかし、下の肖像画を見せると、ほとんどの人が「ああ」と頷き、あちこちから「ルター!」との声が。

Lucas Cranach der Ältere_Martin  Luther.jpeg

そう、かのマルティン・ルターの肖像画を描いた画家です。クラーナハの名は知らなくても、この絵はどこかで目にしたことのある人が多いでしょう。(クラーナハはこれ以外にもいくつもルターの肖像を残しています。)そして、今年2017年は宗教改革の始まり(1517年)から500年目に当たり、本展覧会もそれにちなんで企画されたものです。

宗教改革は芸術にも大きな影響を与えました。教会の重要性が相対的に低下し、華美な教会装飾を否定したプロテスタント圏においては、宗教画の需要が減り、代わって肖像画やより世俗的な絵画が求められるようになっていきます。そうした激動期のドイツで、クラーナハはプロテスタント精神を表現する新たな絵画を生み出しつつ、カトリックの伝統的な主題(聖母子像など)の受注にも応じながら、長きにわたって旺盛な創作活動を展開しました。

また、クラーナハは非常に多作な画家で、彼の工房では多くの注文に迅速かつ確実に対応できる効率的で組織的な制作システムを構築していたようです。なかなかの実業家でもあり、版画など量産可能なメディアの可能性を活用し、安定的な収入の確保に努めました。このあたりはデューラーも同様で、宗教画という大きな市場を失ったプロテスタント圏の画家たちは、新たな市場を開拓する必要があったのです。

クラーナハの絵画は、イタリアからもたらされたルネサンスの潮流と、より伝統的な中世絵画の特質を併せ持ち、特に人気の高い裸婦像などは、解剖学的に正確な人体デッサンというよりも、流れるような線やいくぶん中性的な雰囲気が一種独特の魅力を生み出していると言えましょう。

一方、肖像画ではリアリスティックな描写に自ずと人物の性格がにじみ出ているようにも見え、人間観察に裏打ちされた客観的な視線が感じられます。(上のルターの肖像画からどんな人物を想像しますか?)

会期も残りわずか。宗教画、肖像画、裸体画、版画…これだけ多岐にわたるクラーナハ作品をここ日本でまとまって見られる機会は滅多にありませんので、ぜひ一度足を運んでみてください。

クラーナハ展―500年後の誘惑(公式サイト)
http://www.tbs.co.jp/vienna2016/
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